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上手な贈与の利用方法
1 遺暦年贈与を利用する方法
相続税の額をおさえる対策として、生前からの贈与を利用する方法があります。
ここでよく用いられている方法は、暦年贈与を利用する方法です。
これは、贈与税の基礎控除額を利用して、非課税の範囲内で贈与を行って、相続財産の額をおさえるという方法です。
1年間の基礎控除額は110万円とされているため、この基礎控除額の範囲内で贈与をするという対策が行われています。
この基礎控除額は、贈与者ではなく、受贈者について設定されているものですので、複数の受贈者に対して暦年贈与をするということができます。
たとえば、相続税の対策をしたい方に配偶者と3人の子どもがいる場合、その4人に110万円ずつ、毎年、生前贈与をすることで、年間440万円の財産を減らすことができます。
さらに、子どもだけでなく孫に対しても同様の贈与をする場合には、より効果が大きくなります。
2 特例を利用する方法
1の暦年贈与だけでなく、贈与税には特例が設けられていることがありますので、これを生前贈与に利用する方法があります。
たとえば、父母・祖父母から住宅購入資金や教育資金、子育て資金の贈与を受けた場合、贈与税の非課税枠が利用できる場合があります。
ただし、これが適用できる条件は税制改正とともに頻繁に変わりますので、そもそも利用できるのかどうかや、どの範囲で利用ができるのかなどは、その都度、お調べいただいたり、税理士などの専門家にご相談いただいたりしてください。
3 暦年贈与の控除額以上の贈与をした方が有利な場合
基本的には、現在の税制では贈与税の税率の方が相続税の税率よりも高く設定されていますので、贈与で税金を支払うよりも相続で税金を支払った方が安いというケースが多いといえます。
ただし、場合によっては、相続税で支払うよりも贈与税で支払ってしまった方が税金の額が少なく済むという場合があります。
正確な表現とはいえない部分もあるのですが、その理由を分かりやすく説明します。
相続税も贈与税も、財産の額が高くなるほどより高い税率が設定されている累進課税制度が採用されています。
相続税において、基礎控除後の課税価格について、法定相続分に対応する額が1億円を超えて2億円以下の場合には、40パーセントの税率に1700万円を控除して税額が計算されます。
贈与税においては、贈与額から基礎控除額を控除した額が200万円以下の場合には、10パーセントの税率となっていますし、200万円を超えて300万円以下である場合には、15パーセントの税率に10万円を控除して税額が計算されます。
そのため、相続財産の内容によっては、贈与税で税金を支払っておいた方が、相続税のときよりも税率が低いために有利であるという場合があります。
どのよう贈与の方法をとることがもっとも有利なのかということは難しい面がありますので、税理士などの専門家にご相談されることをおすすめします。